上陸を特別に許可された事例及び上陸を特別に許可されなかった事例について(出典・入管)

上陸を特別に許可された事例及び上陸を特別に許可されなかった事例について
1 上陸特別許可及び上陸拒否の特例について
出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第12条に規定する上陸特別許可は,法務大臣の裁量的な処分であり,その許否判断に当たっては,個々
の事案ごとに,上陸を希望する理由(入国目的),該当する上陸拒否事由の内容(退去強制事由の内容を含む。),上陸拒否事由が発生してから経過した期間,我
が国に居住する家族の状況やその生活状況,内外の諸情勢その他諸般の事情に加え,その外国人に対する人道的な配慮の必要性と他の入管法第7条第1項に
定める上陸のための条件に適合しない者に及ぼす影響とを含めて,総合的に考慮しています。
また,上陸特別許可と類似の制度として,入管法第5条の2に上陸拒否の特例に係る規定が設けられています。当該規定により,一定の類型の上陸拒否の対象
者であっても,法務大臣が,法務省令に該当する場合で,かつ相当と認めたときには通知書が交付され,同通知書に記載された上陸拒否事由に該当することのみ
によっては上陸を拒否されることがありません。また,入国審査官,特別審理官,法務大臣と三段階の手続を経る上陸特別許可を改めて受ける必要もありません。
 例えば,過去に退去強制された外国人が日本人との婚姻が成立したことを理由として在留資格認定証明書交付申請を行った場合,上記(1)と同様の観点によ
り,審査が行われることとなりますが,審査の結果として同証明書が交付され,その上で,在外公館において有効な査証を取得した当該外国人が我が国の空港等
で上陸申請を行い,一定の要件に適合するときは,入国審査官は,上陸特別許可によらずに,上陸許可をすることができます。
【参考】
○ 上陸拒否事由
   入管法第5条は,上陸許可の障害となる事由すなわち「上陸拒否事由」として,上陸許可の消極的要件を定めたものです。我が国にとって好ましからざる外国
人の入国を禁じ又は適当と認める条件を具備する外国人のみの入国を許可する権限を有することは国際法上確立した原則であり,公衆衛生,公の秩序,国内
 の治安等が害されるおそれがあると認める外国人の上陸を拒否することとしています。
○ 上陸拒否期間
  過去に不法残留等を理由に退去強制された者や出国命令を受けて出国した者は,入管法の規定に基づき,原則として,一定期間(これを「上陸拒否期間」と
いう。)我が国に上陸することはできません。具体例は次のとおりです(「」内は記2における上陸拒否事由欄の表記例)。
 ① 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したことがない場合の上陸拒否期間は,退去強制された日から5年(5年拒否)
  ② 過去に退去強制されたり,出国命令を受けて出国したことがある場合(「複数回退去強制」)の上陸拒否期間は,退去強制された日から1 0年(10年拒否)
 ③ 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は,出国した日から1年
 ④ 日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた場合等(「懲役刑等(1年以上)」)の上陸拒否期間は無期限(長期拒否)
2 上陸を特別に許可された事例及び上陸を特別に許可されなかった事例
 上陸を特別に許可するか否かの判断については,透明性と予見可能性を確保するため,上陸のための条件である入管法第7条第1項第4号に適合していない
(同法第5条第1項各号のいずれかの上陸拒否事由に該当している)外国人であって,配偶者が日本人の場合又は配偶者が正規に在留する外国人の場合に係る
事例のうち,令和元年(平成31年)中に上陸を特別に許可された事例8件,上陸を特別に許可されなかった事例8件について,類型別に分類の上,次のとおり公
表します。 なお,事例については,今後も毎年公表する予定です。
(注)(1)及び(2)における「退去強制からの経過年月」とは,退去強制による送還日から在留資格認定証明書の交付申請等に係る判断を行ったときまでの期間,
「婚姻期間」とは,婚姻した日から在留資格認定証明書の交付申請等に係る判断を行ったときまでの期間
   ○ 上陸を特別に許可(入管法5条の2)された事例
上陸拒否事由 上陸拒否期間 退去強制からの
経過年月 婚姻期間 夫婦間の子 特記事項
1 退去強制
(不法残留) 5年拒否 約11月 約5年7月 無し ―
2 退去強制
(資格外活動) 5年拒否 約1年2月 約3年10月 無し ―
3 懲役刑等
(1年以上)
長期拒否
(無期限) 約3年3月 約5年3月 有り
(1名) ―
4 複数回退去強制
(不法残留) 10年拒否 約3年5月 約3年4月 無し ―
5 退去強制
(在留資格取消) 5年拒否 約4年1月 約3年4月 有り
(1名)
退去強制後に日本人と婚姻し
子が出生したもの
  ○ 上陸を特別に許可されなかった事例
上陸拒否事由 上陸拒否期間 退去強制からの
経過年月 婚姻期間 夫婦間の子
1 退去強制
(不法残留) 5年拒否 約1年3月 約1年4月 無し
2 退去強制
(不法就労助長) 5年拒否 約1年6月 約4年9月 無し
3 懲役刑等
(1年以上)
長期拒否
(無期限) 約2年4月 約9年8月 有り
(2名)
4 懲役刑等
(1年以上)
長期拒否
(無期限) 約3年 約1年4月 有り
(1名)
5
複数回退去強制
(不法残留,
  不法入国)
10年拒否 約3年2月 約7年 無し
在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年
 (1)配偶者が日本人の場合
刑事処分等 許可内容
無し 在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年
大麻取締法違反により,懲役8
月,執行猶予3年の判決
在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年
無し 在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年
無し
電磁的公正証書原本不実記録・同
供用の罪により,懲役1年2月,
執行猶予3年の判決
偽装結婚をしていたもの
在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年

強盗の罪により,懲役4年6月の
実刑判決
無し
無し 過去4回にわたり不法残留又は不法入国により退去強制処分
を受けたもの。
刑事処分等 特記事項
無し ―
無し ―
   ○ 上陸を特別に許可(入管法5条の2)された事例
上陸拒否事由 上陸拒否期間 退去強制からの
経過年月 婚姻期間 夫婦間の子 特記事項
1 退去強制
(不法残留) 5年拒否 約1年6月 約2年5月 無し ―
2 退去強制
(不法残留) 5年拒否 約1年10月 約5年1月 有り
(1名) ―
3 退去強制
(不法残留) 5年拒否 約2年10月 約2年 有り
(1名)
退去強制後に永住者と婚姻し
たもの
  ○ 上陸を特別に許可されなかった事例
上陸拒否事由 上陸拒否期間 退去強制からの
経過年月 婚姻期間 夫婦間の子
1 退去強制
(不法入国) 5年拒否 約1年 約2年 無し
2 退去強制
(虚偽文書提供) 5年拒否 約1年1月 約6年 有り
(2名)
3 懲役刑等
(1年以上)
長期拒否
(無期限) 約5年1月 約7年 無し
 (2)配偶者が正規に在留する外国人の場合
刑事処分等
無し
刑事処分等
無し ―
無し 他の外国人に不正に在留資格変更許可を受けさせる目的で,
虚偽の文書を提供するなどして,報酬を得ていたもの
入管法違反(不法残留)及び道路
交通法違反により,懲役2年6
月,執行猶予5年の判決